ごあいさつ

会長 利光誠一

 大分地質学会は、1994年の発足以来、野田雅之前会長の下で大きく発展してきました。この間、各種の年間行事、毎年定期発行する機関誌も充実し、その活動は地質学雑誌(日本地質学会)や化石(日本古生物学会)等の専門誌にも紹介され高く評価されています。これは会員各位の研究に対する一途な努力とその社会的貢献の結果による賜物であり、今後も会員各位の努力と研鑽によりますます発展していくものと期待しています。
 大分県には多くの地質現象の見られる露頭や地質に由来する景観があります。これは、大分地質学会会員が協力してまとめられた「大分県の天然記念物(地質鉱物)」(2010年3月;大分県教育委員会編集・発行)に283カ所もの天然記念物候補があげられていることでもわかります。今後、これらの候補地は、大分県におけるジオパーク活動のジオサイトとしても活用されていくことが期待されます。ジオパーク活動の推進により、県内の地質・地形の理解が、郷土に誇りをもつきっかけとなり、その保全と活用で郷土の発展に供することが期待され、大分地質学会の活動がその一助となれば幸いです。
 大分地質学会の会員は県出身の地質研究者、県内にフィールドを持つ国内研究者、鉱山技術者、地質調査技師、小・中・高・大学教師、学生・院生、一般地学愛好者など多岐にわたります。学会の活動は主として会員を対象とします。野外観察会や採集会では環境保全、自然破壊、安全対策(動植物の採集会にくらべて事故発生の心配が多い)などの観点から不特定多数を対象とした活動は自粛しています。地質領域の研究は先ずは岩石・鉱物・化石の採集、標本製作や地質の巡検など、野外での調査・観察から始まり、各自がそれぞれ志向する専門分野の研究へと進んで行きます。大分地質学会の活動を通してその道筋を体験を通して楽しみながら体得していくことができます。これから経験を積まれる方を始め、多くの方々にとってはよい刺激を得る場となることが期待されます。年輩の方にとっては生涯学習の場としてのロマンをかき立ててくれるでしょう。教育関係者にとっては教材開発のヒントを得る場ともなるでしょう。志ある方々の積極的な入会をお待ちしています。